動画コーナーその2 「マヌエル・ポンセ プレリュードホ長調」
こんにちは。
今日の動画はシルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(1687~1750)作、「プレリュードホ長調」です。
あれ?って思われた方は、ちゃんとタイトルを見てくれたか、おそらくギタリストでしょう。
そうです、この曲はヴァイス作曲じゃありません。
タイトルの通り、マヌエル・ポンセ(1882~1948)という人が作曲したものです。
「???意味がわからん」という方、ここでちょっとしたエピソードがあるので聞いてください。
その昔、アンドレス・セゴビアというクラシックギタリストが居ました。
セゴビアの悩みは、クラシックギターのオリジナル作品が少ないことでした。
今でこそ沢山の作曲家が、ギターのためにいろいろな曲を書いてくれていますが、
当時は、ギターというものがまだまだ音楽界では下に見られていた部分もありました。
そこでセゴビアは、友人でもあるポンセに作曲を依頼します。
ポンセは優れたギター曲をたくさん作りましたが、なぜか中にはヴァイスやスカルラッティと言った、バロック時代の作曲家の名前を借りて曲を送り出したこともありました。
なぜそのようなことを・・・?
ギター界の通説として、「セゴビアとポンセが”共謀”した」と言われています。考えられる説として、
1)セゴビアはコンサートプログラムがポンセの作品ばかりになってしまうのを避けたかった
2)当時は他人の名前を騙って作曲することが珍しくなかった(偽作)
というものがありますが、真相・真実は二人にしかわかりません。
今でこそポンセの作品と判明していますが、当時ポンセは印税などを受け取ることができず、なかなかつらい思いをしたようです。
私の持っている楽譜も作曲者の部分は「Manuel Ponce」ではなく「Silvius Leopold Weiss」となっています。
とまあこんなエピソードがある、いわく付きの曲?ではありますが、なかなか奥深い曲でして、
人によってはバロック風に弾いたり、南米風に弾いたり、セゴビア風に弾いたりと・・・
さまざまな解釈ができる、弾いても聴いても楽しい曲です。
ちなみに、この曲はハープシコードとのデュオバージョンも存在するので、興味のある方は調べてみてください。
使用ギター:パウリーノ・ベルナベ (1974年作)
弦:サバレス・カンティーガ プレミアム
録音環境:スマートフォンによる直撮り
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