披露のススメ
普通、レッスンに通われている人の多くの望みが
「上手くなりたい!」ということに尽きるかと思います。
(上達はしなくていいので、音を楽しむ程度に、という人もまれにおられますが)
でも、レッスンに通っていても、練習を頑張っていても、「なかなか上達しない」という声は良く聞かれます。
上達しない原因はいくつか考えられますが、根本を突き詰めると以下の2点に集約されます。
・練習量が足りない
・練習の方向性が間違っている
練習の方向性が間違っているのであれば、それを正すのが我々講師の役目だと思っています。
ただ、前者の「練習量が足りない」についてはやはり本人が頑張らなければいけないところです。
それでは、今度は練習量が足りない原因について探っていきましょう。これもまた3点ほどに集約されると思います。
・練習する時間がない
・練習が嫌い・苦手
・モチベーションがない
練習する時間がない・・・とはよく聞きます。
意地悪な言い方をしますが、その方は24時間ずっと忙しいのでしょうか。
本当にギターが好きならば、どんなに忙しくても毎日30分程度は練習時間として捻出できるはずです。
とどのつまり、「練習する時間がない」というのは大体言い訳で、「練習が嫌い」「モチベーションがない」というのが本当のところかと思います。
それでは、練習が嫌いでモチベーションがない人はどうやって上達するのか。
それは「好きな曲を弾く」か「人前で披露する」しかないと思っています。
ただし、自分の好きな弾くには、当然練習しなければ弾けません。
そうすると、「人前で披露する」のを目標にするしかありません。
・・・って言うと、大抵の人が「上手に弾けないのに人前でなんて・・・」と気後れするんですよね。
上手じゃないと披露してはいけないのなら、私も人前で弾くことなど許されないでしょう。
上手いから披露する、下手だから披露しない、音楽をはじめ、芸事はそういうことじゃないんです。
最初は身近な人、家族とか友人に披露してみてください。でも、身近な人だと甘えが出ますから、おすすめは発表会に出ることです。
大抵の教室は年に1回〜数回は発表会をやっているので、発表会に出て、第三者に聞いてもらうことです。
そうすると、発表会までに必ず仕上げなきゃ!という気持ちが生まれて、否が応でも練習せざるを得なくなります。
それが上達につながるというわけです。
私は生徒さんに常々、「本番を踏むことは教本1冊分より価値がある」と言っています。
決してこれは大袈裟な表現ではないと思います。
現に、発表会に積極的に出てくれている生徒さんは、本番の成功の有無に関わらず、間違いなく上達しています。
1回本番を踏むだけで教本1冊分も上達するなら、これほどコスパが良くておいしいことはないじゃないですか。
ぜひ勇気を出して、舞台を踏んでみてください。
最後に、吉田兼好の徒然草 第百五十段より。
能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。うちうちよく習ひ得て、さし出でたらんこそ、いと心にかくらめ」と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。
(芸能を身につけようとする人で、「上手くできるようになるまでは、人に知られないようにして、上手くなったら披露するのが格好良い」と言う人がいるが、そう言う人は何も芸を身につけることができない。)
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