浜松市楽器博物館に行ってきました
こんにちは。
ジメジメといやーな季節がやってきましたね。
今これを書いている時点の湿度が約70%!あまり高湿度も楽器には良くないので、この時期も気を使います・・・
さて、先日静岡県浜松市にある「浜松市楽器博物館」に行ってきました。
浜松といえば楽器の街、ヤマハや河合楽器製作所、ローランドなど楽器メーカーの本社がたくさん集まる街としても有名です。
なんと館内は撮影自由(!)でしたので、撥弦楽器を中心に写真を掲載しながら見どころをご紹介したいと思います。
いきなり撥弦楽器から外れてしまいますが・・・館内に入るとまずこの楽器類の壮大さに目を奪われます。
インドネシアのガムランに使われる楽器類です。大小さまざまな打楽器を用い、合奏によって演奏されます。
こちらは琵琶。後に紹介する、リュートとも深い関連性を持っている楽器です。
こちらはモンゴルを代表する楽器たち。モリンホール、フンホール、馬頭琴など。
ちなみにこちらの楽器は体験コーナーで試奏が可能でした。(これが中々難しい・・・!)
行った際は是非試奏してみてください。楽しいですよ♪
こちらはエジプトのウードなど。ビデオで弾いているところも確認できます。
ちなみに、各展示コーナーにはヘッドホンが備え付けられており、全てではないのですが楽器の音色などが確認できるようになっています。
さて、こちらの楽器、なんだか似ていますよね。
ちなみに左からリュート、ウード、ピパ、琵琶です。
これらの楽器の祖先は、古代ペルシャに存在した「バルバット」と呼ばれる楽器だと考えられています。
それが時代とともに西に伝わり、アラビア半島で「ウード」になり、ヨーロッパで「リュート」、東に行けば中国で「ピパ」、日本で「琵琶」となりました。
長い年月をかけ、バルバットが形を変え、姿を変え、各地に根付いていったと考えられます。
当然、情報の伝達速度は今と比較にならないほどゆっくりとしたペースだったと思いますが、文化というものはこうしてじっくりと育まれていくのだと思うと、なんだか壮大なロマンを感じます。
こちらはハワイの楽器。ウクレレ!
ウリウリ、イプ、イプ・ヘケ、プイリなども・・・。
花をかたどったもの(ウリウリ)に目を惹かれますが、これもちゃんとした楽器なんです!
フラダンスのとき・・・そう、もうおわかりかと思います。
ついにやってきましたギター属。
映像は、竹内太郎さんが当博物館の貯蔵楽器を使って演奏した時のもののようです。
竹内太郎さんは、以前レクチャーコンサートを拝見したことがありました。あらためて少しご紹介させていただきます。
→「記事:竹内太郎さんのレクチャーコンサートに行ってきました」
一番左が18世紀後半前期頃の5コースギター、その右上が1795年の「フアン・パフェ」、真ん中はいわゆる19世紀ギターと呼ばれるもので1840年頃の「ジャン・コッフェ」。一番右はバスギター。
どれも大変状態が良く、弦はガットもしくはナイルガットが張られていると思われます。
ギターを弾く方なら、是非一度このコーナーは見ておくべきかと思います。
一番左が、キタッラ・バッテンテと呼ばれる、鉄弦が張られた楽器です。
キタッラとはギター、バッテンテは叩く・打つという意味です。
直訳すると、打ち鳴らすギター・・・となりますが、かき鳴らすような奏法が多用されたのでしょうか。
音色は鉄弦の場合、現代のフォークギターに近いものと思いますが、試聴ではガットの丸い音がしました。
その他にリラギターなども。
こちらはイングリッシュギターのコーナーです。
イングリッシュギターだけでもこの豊富さ!特筆すべきものがあります。
なかでも一番興味深かったのが、右下と右上の鍵盤付きイングリッシュギター。
こちらがトンプソン(1770頃)の鍵盤付きイングリッシュギター。
前述の竹内さんによる演奏のビデオもあり、その音色を聴くと初期のピアノ・フォルテに近いような、クラヴィコードに近いような音色がします。
打鍵部内部の機構が大変気になりました。
まだまだ続きます。
ハープリュート、ディタル・ハープなど。名の通り、ハープとリュートとギターの構造を組み合わせたような楽器。
当時の上流階級の婦女子が好んで演奏したようです。
先程のギター属もそうですが、演奏可能なレベルで保存されているらしく、大変貴重です。
さて、本当はもっとご紹介したいのですが、冗長になってしまうので、割愛して最後に電子楽器コーナーを。
これ、なんだかわかります・・・?
ギター・シンセサイザー(ローランド GR-500)です。鍵盤以外にシンセサイザーをコントロールできるものは無いかという発想で生まれた、世界初のギターシンセです。
後ろの本体とのセットで構成されています。
こちらのポップ、細かい文字が見にくいのですが・・・
1960年代中頃、ベンチャーズやスプートニクスなどの影響により、日本にエレキ・ギターブームが沸き起こりました。
しかし、「エレキ禁止令」と呼ばれるものを学校やPTAは相次いで打ち出し、楽器の購入に許可が必要とか、エレキは不良を生み出すとか、今ではちょっと信じがたいようなことがありました。
左下は当時の新聞の抜粋で、よく読むとエレキギターそのものが問題では無く、演奏会の雰囲気が他の問題行動を生み出すということが書いてありますが、これが世間には「エレキ禁止令」と受け取られてしまったわけです。
この他に管楽器や鍵盤楽器など、まだまだご紹介したいものがたくさんあるのですが・・・
楽器を演奏される方、音楽が好きな方は、是非一度浜松市楽器博物館に足を運んでみてください。
「世界の楽器と音楽を平等に扱う」という理念のもと、多種多様な楽器が見られます。
もちろん割合としては西洋楽器が多いのですが、各地域の音楽や文化をとても尊重しています。(私達が民族楽器と呼ぶものが豊富にあるのがその左証の一つでしょう)
そもそも民族音楽とか、民族楽器という言葉が完全に西洋音楽の視点に立ったものに他なりません。
そういえば、この博物館では「民族楽器」とか「民族の~」という文言はほとんど無かったように思います。
素晴らしいコンセプトです。
こちらはお土産のストラップ。
とても可愛いのでバッグに付けています♪
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