スル・タスト、スル・ポンティチェロと言葉の話
スル・タスト、スル・ポンティチェロという言葉を聞いたことはありますか?
ヴァイオリンをはじめとした弦楽器にはよく出てくる指示で、
それぞれ「指板の上で弾く」、「ブリッジ寄りで弾く」という意味なのですが、ちょっと言葉の意味を分解して調べてみました。
イタリア語でsul(スル)はsu ilの短縮形です。sul単体だと「~の線で」「~の弦で」という意味になるらしく、
もっと分解するとsuは「~の上で、上に」という意味、ilは英語で言うところのtheに当たります。つまり、on theとかat theですね。
tasto(タスト)もイタリア語で、「キー・ボタン・鍵盤・フレット・指板」などの意味を持ちます。
ponticello(ポンティチェロ)は「弦楽器の駒」という意味です。
もっと分解すると、pontiは「橋・甲板・駒」などの意味、接尾辞の-celloは「小さな」という意味です。
余談ですが、ラテン語では聖職者のことをpontifexと呼び、これはponti(橋)-fex(作る人)と分解できます。
古代ローマ時代、橋をかけることは聖職者の仕事だったことに由来しているようです。
クラシック音楽にふれる場合、演奏記号について調べておくと、より音楽を楽しむことができます。
たとえば、Dolce(ドルチェ)。音楽では「甘美に・甘く」という意味になりますが、元々はデザートとか、お菓子とかという意味です。そのまんまですね。
イタリアンレストランなんかに行くと、デザートメニューに多分ドルチェって書いてあると思いますよ!
演奏記号に限らず、言葉には語源や由来がありますから、これを知識として蓄えておくことは無駄にはならないです。
なにより、結構楽しいですよ!上の聖職者の話のように、雑学的知識も増えます。
あまり厳密に捉えずとも、言葉を大まかなイメージで捉えておく程度でも大丈夫です。
なにかと応用が効きやすくなるのではないかと思います。もちろん演奏にも!
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